プログラム・曲目解説(2025/6/6第2回志田雄二リサイタル&はじめての終活講座 夜の部)


『花』は、明治時代の詩人・武島羽衣が作詞し、作曲家・滝廉太郎が手がけた唱歌です。日本の唱歌の中でも特に親しまれており、隅田川の春の情景を美しく描写しています。流れる水面、咲き誇る桜、行き交う舟――江戸から東京へと移り変わる時代の中で、人々の情緒や季節の移ろいを繊細に表現しています。近代日本の音楽文化の黎明期を代表する一曲であり、日本人の心に響く抒情性を今も伝え続けています。

『荒城の月』は、詩人・土井晩翠が作詞し、滝廉太郎が作曲、のちに山田耕筰が編曲した名曲です。朽ち果てた城跡に照らされる月を通して、栄華の儚さや無常観を詩的に描いています。明治期の西洋音楽導入と日本古来の情緒が融合した作品であり、山田耕筰の編曲により荘厳な芸術歌曲として昇華されました。日本歌曲の代表作として国内外で高く評価されており、今もなお多くの人々に深い感動を与え続けています。

『赤とんぼ』は、三木露風の詩に山田耕筰が曲をつけた、日本を代表する叙情歌のひとつです。夕暮れの空に舞う赤とんぼを見つめながら、幼い日の記憶や母への想い、故郷への郷愁を静かに歌い上げています。素朴ながら深い情感に満ちた旋律と歌詞は、多くの日本人の心に響き、世代を超えて親しまれてきました。山田耕筰による美しい旋律は、日本の自然と心情を見事に結びつけ、今なお歌い継がれる名曲となっています。

『おくりびと~memory~』は、映画『おくりびと』のために久石譲が作曲した楽曲で、深い哀しみと優しさが織り交ぜられた旋律が心に響く名曲です。人の死と向き合う主人公の心情や、別れの中にある静かな美しさを繊細に描いています。作中では主人公によるチェロで演奏されますが、今回はヴァイオリニスト寺島貴恵による演奏でお届けします。彼女の澄んだ音色と豊かな表現力が、この楽曲のもつ情感をより一層引き立て、聴く者の心に深い余韻を残すことでしょう。

ヘンデル作曲のオラトリオ『メサイア』より第2曲「Comfort ye, my people(慰めよ、わが民を)」と第3曲「Every valley shall be exalted(すべての谷は高くされ)」は、旧約聖書イザヤ書の預言に基づいたテノールのアリアとレチタティーヴォです。メシア(救世主)の到来を告げるこの冒頭部分は、静けさと希望に満ちた音楽で始まり、やがて高揚感あふれる旋律へと展開します。神の救いと慰めがもたらされることを力強く宣言し、『メサイア』全体の幕開けを飾る重要な場面です。

『スペイン舞曲』は、スペインの作曲家マヌエル・デ・ファリャの歌劇『はかなき人生』第2幕で演奏される器楽曲で、情熱的でリズミカルなスペイン音楽の魅力が凝縮された名曲です。もともとはオーケストラ曲として書かれましたが、ヴァイオリニストのフリッツ・クライスラーが編曲したヴァイオリンとピアノ版でも広く親しまれています。哀愁と高揚感が交差するメロディーと華やかな技巧が魅力で、演奏者の表現力と技術が光る華麗な一曲です。

『セレナータ』は、イタリアの作曲家フランチェスコ・パオロ・トスティによる歌曲で、甘く流れるような旋律と情熱的な表現が特徴の一曲です。愛する人のもとで夜に捧げる「セレナーデ(夜曲)」として書かれており、恋の喜びと切なさが詩情豊かに歌われます。トスティはベルカントの美しさを生かした歌曲を多く残しており、『セレナータ』もその代表作の一つとして世界中の歌手に愛されています。情感あふれる旋律が聴く人の心に優しく響きます。

『君なんかもう(Non t’amo più)』は、イタリアの作曲家フランチェスコ・パオロ・トスティによる名歌曲で、恋人への愛を失った男の苦悩と未練を情熱的に描いた作品です。邦題こそ冷たく聞こえますが、内面には深い悲しみと愛の余韻が込められており、トスティらしい繊細で美しい旋律が心に残ります。今回はテノール・志田雄二が歌い上げ、捨てきれぬ想いを胸に秘めた主人公の複雑な感情を、豊かな声と表現力で情感豊かにお届けします。

『ロリータ』は、イタリアの作曲家アルマンド・ペッチャによる情熱的なカンツォーネ(イタリア歌曲)です。恋する女性「ロリータ」への熱い想いを、明るく親しみやすい旋律とリズミカルな展開で歌い上げています。南イタリアの陽光や情熱を感じさせる音楽は、聴く人の心を軽やかにし、自然と微笑みを誘います。哀愁と明るさが同居するこの曲は、演奏者の表現力によってさまざまな感情が引き出される魅力を持ち、広く親しまれている一曲です。

『ヴォカリーズ』は、ロシアの作曲家セルゲイ・ラフマニノフが1915年に作曲した作品で、もともとは歌詞のない声楽曲として書かれました。旋律のみで感情を語るこの曲は、豊かな抒情性と深い哀愁をたたえ、ラフマニノフ特有のロマンティシズムが凝縮されています。今回はヴァイオリン・寺島貴恵による演奏でお届けします。歌のように歌われるヴァイオリンの音色が、言葉を超えた深い感情を丁寧に紡ぎ出し、静かに心に響く名演となることでしょう。

『人知れぬ涙(Una furtiva lagrima)』は、ガエターノ・ドニゼッティ作曲のオペラ『愛の妙薬』第2幕で歌われる、テノールの名アリアです。純朴な青年ネモリーノが、想いを寄せるアディーナの瞳に浮かんだ一筋の涙に、彼女の愛を確信し、喜びに満ちる心情を切々と歌い上げます。美しく哀愁を帯びた旋律と、胸を打つ情感が世界中で愛され続けています。今回はテノール・志田雄二の歌声で、恋する心の純粋さと深さが情熱的に表現されます。

『タイム・トゥ・セイ・グッバイ』は、イタリアのテノール歌手アンドレア・ボチェッリの代表曲として世界中で愛されている名曲です。壮大で美しい旋律に乗せて、別れの哀しみだけでなく、新たな旅立ちへの希望と勇気を歌い上げます。今回はテノール・志田雄二、ヴァイオリン・寺島貴恵、ピアノ・篠宮久徳による三重奏でお届けします。豊かなハーモニーと心に響く歌声が、コンサートの締めくくりにふさわしい感動のひとときを創り出します。


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